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昭和16年4月。
仮称一式ペアが鹿屋空にて猛訓練を重ねていた頃。
帝国海軍に新たな制式機が誕生した。
その名を一式陸上攻撃機。
通称一式陸攻(イチシキリクコウ若しくはリッコウ)がその新型機である。
しかし、この時陸攻は96式陸攻の猛訓練の真っ最中。
漢字の読みこそ異なれど、自分の本名と新型の中攻が同姓同名である事を面白がるゆとり等があろう筈もなく、実用機の操縦をモノにする為の訓練と座学そして努力だけで手一杯である。
何しろこの96式陸攻ときたら優秀な飛行機である事には違いないのだが、いざ乗ってみると意外に手のかかる我儘な暴れん坊でもある事を嫌でも痛感する事になる。
言わば96式陸攻は、否、中攻に限らず実用機とは、それくらい乗り手を選びに選ぶ機体なのだ。
艦攻若しくは艦爆の操縦資格を得てからでないと中攻操縦士への道が開けない事も、大いに納得の行く話である。
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