陸攻とリクコウ。

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 もしも仮称一式ペアの中に青山特務少尉か赤井3空曹かはたまた二人ともいたとしたら、陸攻がり変わってしまった事に気付いているだろう。 しかしどちらも陸攻とは違う機で訓練を受けている今、中攻乗組員練習生の大半が 一式中尉は元々あのような性格 だと認識するのも無理はない。 研究熱心さと兵下士官はだしの油虫精神は加賀乗組時代と変わらない陸攻だが、気さくさと兵下士官直伝の要領そして笑顔が全く見られなくなってしまったのだ。 能面のように無感情な顔と抑揚のない平坦な喋り方。 そして時折浮かべる、餓狼が如く殺気に満ちた表情と眼光。 もしもあの悟やつかさが現在の陸攻を見たら、別人と間違えるか大急ぎで逃げ出すかのどちらかであろう。 尤も、あの2人が現在の陸攻に近付ける度胸を持ち合わせていればの話だが。 狼の異名こそ残ってはいるものの、かつてそう命名された由来を知る者とつい最近そう命名した者との間には、陸攻に対する認識に大きなズレが生じつつあった。
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