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つい先程追浜飛行場から、誰が何という飛行機に乗って追浜飛行場を飛び立ったか…
そんな事など露知らず、陸攻は格納庫にて整備員たちの手伝いをしている。
最初こそ、何とも手荒く変わった正規が来たものだと、怪訝そうな表情を浮かべそうになりつつ陸攻の相手をせざるを得なかった整備員達。
だが、先日起きたとある一件を境にして、徐々にではあるが陸攻を受け入れ始めていた。
その一件とは、機付長の多村(たむら)1整曹(1等整備兵曹)と陸攻との会話である。
多村機付長が内心また来やがったかと苦笑しつつ、遠回しに
「邪魔だからあっちに行ってくれ」
…と言ったのだ。
因みに具体的な文面は
「そんなに手伝いがしたいのなら、酒保(さかほ)で大福でも仕入れて来られては?」
…である。
しかも、仮にも上官である陸攻に面と向かって。
五水(五等水兵。大正8年廃止)経験者がゴロゴロいた時代を肌で知る多村機付長に言わせれば、素人が手伝いを申し出るなどおこがましい上に余計なお世話なのであろう。
其ほど自分たちの腕に自信があるからこそ、さまになる言葉なのは言うまでもない。
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