第1話 死神の存在

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次の日の朝。昨日の体調の悪さが嘘のように消え、すっきりとした感覚で目が覚めた。 昨日は家に帰っても食欲はなく、風呂に入った後すぐベッドに入り、そのまま就寝した。 昨日は気分が普通ではなかった。 だが朝起きるとそんなことはなく体調も良くなっている。 俺は学校へ行く準備をして家を出た。 「おはよー!たまねー!」 いつもの通学路を少し歩くと、後ろから紗雪が走って近づいて来た。 「おはよう紗雪。あれ、今日は朝練ないのか?」 「大会が近いわけじゃないし、朝練は自由参加だよ?私はその日の気分によって決めるのだ」 紗雪はそう言い胸を張る。相変わらず普段通りのマイペース振りだ。それで大会で上位の成績を収めているから要領が良いのだろう。 「そういえば!」 突然紗雪は声を上げる。 「どうした?」 「昨日の話の続き!私まだ珠音から聞いてなかったよね?」 紗雪とは昨日昼休みくらいしかまともに会話してないし、昨日の話といえばやはりあの話か。 『死神』についてのことだろう。 「そのことだけど、俺昨日昏睡した人見たんだよ」 「え?本当に!?どこで!?」 紗雪は興味津々な目つきで問いかける。 「あの店の前でだよ。」 俺達はちょうど商店街の通路を歩いていたため、俺はその人が倒れていたところを指をさした。 「ヘぇ~そうだったんだぁ。不謹慎だけど、少しだけ見てみたかったなぁ」 紗雪の発言に俺は苦笑する。 「あまり見てて気分のいいものじゃなかったけどな」 紗雪には悪いが、あれは出来ることならば見ないほうがいい。 俺だけに感じた感覚なのかもしれないが、あまり紗雪には見て欲しくはなかった。 ーー『次はあなたにしようかな』 ……それにあの女の子の声は何だったんだ。 「そういえば紗雪、死神についてだけど……」 そう言い始めて、隣を歩いている紗雪に目をやる。 しかし、先ほどまで元気に歩いていた紗雪は何の前触れもなく、その場に倒れていた。
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