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「……紗雪?おい、どうしたんだ?」
倒れている紗雪を揺すってもピクリとも反応しない。
一体何が起こったんだ?
その突然の事に理解が追いつかなかった。
今の今まで普段通りに会話していたはずだ。
「テンパっててもダメだ!まずは救急車を……」
何とか頭を落ち着かせ、今するべきことを考える。
俺は救急車を呼ぶため、携帯に手をかけた。
同時に周りに目を配り、始めて俺は気付いた。
「……嘘だろ。」
思わず手に持った携帯が地面に落ちる。
今まで周りを歩いていた人達、少なくとも今この場の商店街の目に入る人たち全員が、地面に倒れていた。
「み、皆さん!大丈夫ですか!?」
大声で呼びかけても誰も反応しない。
「おいおい……。幾ら何でもこの状況。異常だぞ」
おかしい。明らかにおかしい。
全員が倒れているこの異様な光景は見てるだけでも頭がおかしくなりそうだ。
だが、いま正常に動けるのは俺だけだ。俺が何とかしなければいけない。
しかし、どうすればいい。このまま全員そのままな訳にはいかない。
ひとまず救急車を呼んだら、誰か助けを呼びに行こう。
そう考えていた直後。
「大丈夫。この人達の身体は抜け殻になっただけ。死んではいないよ」
1人の少女が俺の目の前に立っていた。
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