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俺の目に映る少女の格好は明らかに異常だった。
身長は低めで、自分と同い年くらいの顔つき。服装は足まで付きそうな黒いローブを身に纏っている。
そして背中には少女の背を超えそうなほどの大鎌を背負っていた。
「......大丈夫って、どういう意味だ」
かろうじて出た言葉。困惑をしつつも俺は状況の理解に努めようとした。
「彼女達が倒れたのはあなたの理解を迅速に進めるための必要行為。彼女達が戻るかどうかはあなた次第だけどね。」
少女はそう言ったが、一体何を言っているのかが分からなかった。
「……もしかしてこれは君がやったのか?」
「その通り。私がやった」
俺のその問いに彼女は微笑み、ふざけた様な軽い反応をした。
「一体何をしたんだ。抜け殻ってどういう意味だ」
「私が彼女達の魂を刈り取ったのよ」
「魂だって?」
彼女は自分の掌を胸の前で上に向けた。
すると少女の手の中から、まるで白い炎の様な見た目をした塊がいくつもでてきて、彼女の周りをゆっくりと動きながら揺らめいている。
「これが人の魂。魂は言わば人の生命力の根源そのもの。魂を抜かれると、残った体はただの器となり精神の宿らない人形の様になる。そして、魂を失った体は徐々に衰弱し、やがて死に至る」
俺は気づくのに時間はかからなかった。
一連の昏睡事件は、死神から魂を奪われた結果のものだったのか。
「物分りはいいみたいだね」
彼女は再び微笑みそう言った。
「お前は一体、何者なんだ」
俺は質問をしたが、既に自分の中で答えは出ていた。
少女は予想通りの返事をする。
「私は死神、よろしくね。七丈 珠音くん」
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