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「......俺の名前は知っているのか」
この死神に会ってから俺は名前を言っていない。
「当然でしょ?私が次に決めた人だもん。名前を知らなきゃ失礼じゃない」
次に決めた?一体なんの話をしてるんだ。
......いやひとまずそのことは置いといて、この死神には言わなきゃいけないことがある。
先ほど言った、魂を失ったらいずれは死に至るということ。それが本当ならば黙ってはいられない。
「今すぐ、ここにいる人たちの魂を返せ」
「断る。魂は返せない」
やはり言ってもそう簡単には承諾してくれない。
くそ、どうすればいい……。
「そんなに焦らなくても大丈夫。個人差はあるけれど、魂は抜かれてもすぐには死なない。あなたが私の要求を満たすことができれば、返してあげるよ。」
俺の表情をみて察したのか、死神は倒れている紗雪達を見ながらそう言った。
話を聞く限り彼女は俺に何かをしてほしいらしい。
しかし、そう簡単には聞き入れられない。
「要求を断ったら?」
「あなたの魂は、今ここで私が狩り取ることになる」
死神は背の鎌を持ち俺の首筋に刃先を向ける。
「……そしたら俺は君の要求を聞き入れられないんだが、それでは本末転倒じゃないのか?」
と俺は僅かばかりの反論をしてみたが......。
「別に今回頼む相手があなただったってだけで、あなたが断れば、その時は別の人にまたお願いするだけ」
やはりあまり意味がない様だ。
どうやら断る選択肢は最初からないらしい。
「……君の言う要求とは?」
それならばもうこれ以上回りくどい会話はなしだ。
「わかってくれた?それじゃあ本題に入ろうか」
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