第1話 死神の存在

15/16
前へ
/45ページ
次へ
「......俺の名前は知っているのか」 この死神に会ってから俺は名前を言っていない。 「当然でしょ?私が次に決めた人だもん。名前を知らなきゃ失礼じゃない」 次に決めた?一体なんの話をしてるんだ。 ......いやひとまずそのことは置いといて、この死神には言わなきゃいけないことがある。 先ほど言った、魂を失ったらいずれは死に至るということ。それが本当ならば黙ってはいられない。 「今すぐ、ここにいる人たちの魂を返せ」 「断る。魂は返せない」 やはり言ってもそう簡単には承諾してくれない。 くそ、どうすればいい……。 「そんなに焦らなくても大丈夫。個人差はあるけれど、魂は抜かれてもすぐには死なない。あなたが私の要求を満たすことができれば、返してあげるよ。」 俺の表情をみて察したのか、死神は倒れている紗雪達を見ながらそう言った。 話を聞く限り彼女は俺に何かをしてほしいらしい。 しかし、そう簡単には聞き入れられない。 「要求を断ったら?」 「あなたの魂は、今ここで私が狩り取ることになる」 死神は背の鎌を持ち俺の首筋に刃先を向ける。 「……そしたら俺は君の要求を聞き入れられないんだが、それでは本末転倒じゃないのか?」 と俺は僅かばかりの反論をしてみたが......。 「別に今回頼む相手があなただったってだけで、あなたが断れば、その時は別の人にまたお願いするだけ」 やはりあまり意味がない様だ。 どうやら断る選択肢は最初からないらしい。 「……君の言う要求とは?」 それならばもうこれ以上回りくどい会話はなしだ。 「わかってくれた?それじゃあ本題に入ろうか」
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加