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「あなたにしてほしいことは1つ。これからあなたには、私が仕掛けたゲームを受けてほしいの」
「ゲームだって?」
予想外の言葉が死神の口から出てきた。思わず俺は唖然とする。
「そう、私達死神の中では死神遊戯と呼ばれているものよ」
「死神遊戯……」
死神に遊ばれる様な意味合いがして、なんとも嫌な響きだ。そして当然かもしれないが、死神は複数いるらしい。
しかし今はそんなことはどうでもいい。
「俺がそのゲームにクリアしたら?」
「彼女達の魂を全て返してあげる。それにちょっとした特典もあるよ。クリアしてからのお楽しみだけどね」
特典というのはよく分からないが、ここまではある程度予想通り。
問題はクリアできなかった時のことだ。
「もし俺がゲームをクリアできなかったら?」
「あなたの魂を貰う」
「……それだけか?」
「それだけよ?」
死神は首を傾げていた。だが腑に落ちない。俺の魂を貰いたいだけなら、今ここで狩り取ってしまえば済む話だ。何故わざわざゲームをさせるのかが分からない。
その様に考え、俺は困惑していると、死神は小悪魔のような笑みを浮かべて口を開く。
「ああ~。あなたが何を考えてるか分かった。心配しなくても大丈夫。私にもちゃんとしたメリットがあるから」
別に心配なんてしていない。いずれにしろ、魂を貰われるとそれはほぼ死を意味するから、重いリスクであることに変わりはない。
「……分かった、じゃあさっさと始めようか」
「OK。その前にまず場所を移動しないとね」
そう言って彼女は指を鳴らした。
瞬間、商店街の景色が一変し、俺はいつの間にか学校の教室に移動していた。
教室はもう人が入っててもおかしくない時間帯だと思うが、教室には誰もいなかった。
「それでは!説明をするよ!」
死神は教卓に足を組んで座りそう言った。
どんなゲームであろうと、紗雪を助けるためにも、絶対にクリアする。失敗は許されない。
ーーーーーー死神遊戯が始まる。
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