第1話 死神の存在

16/16
前へ
/45ページ
次へ
「あなたにしてほしいことは1つ。これからあなたには、私が仕掛けたゲームを受けてほしいの」 「ゲームだって?」 予想外の言葉が死神の口から出てきた。思わず俺は唖然とする。 「そう、私達死神の中では死神遊戯と呼ばれているものよ」 「死神遊戯……」 死神に遊ばれる様な意味合いがして、なんとも嫌な響きだ。そして当然かもしれないが、死神は複数いるらしい。 しかし今はそんなことはどうでもいい。 「俺がそのゲームにクリアしたら?」 「彼女達の魂を全て返してあげる。それにちょっとした特典もあるよ。クリアしてからのお楽しみだけどね」 特典というのはよく分からないが、ここまではある程度予想通り。 問題はクリアできなかった時のことだ。 「もし俺がゲームをクリアできなかったら?」 「あなたの魂を貰う」 「……それだけか?」 「それだけよ?」 死神は首を傾げていた。だが腑に落ちない。俺の魂を貰いたいだけなら、今ここで狩り取ってしまえば済む話だ。何故わざわざゲームをさせるのかが分からない。 その様に考え、俺は困惑していると、死神は小悪魔のような笑みを浮かべて口を開く。 「ああ~。あなたが何を考えてるか分かった。心配しなくても大丈夫。私にもちゃんとしたメリットがあるから」 別に心配なんてしていない。いずれにしろ、魂を貰われるとそれはほぼ死を意味するから、重いリスクであることに変わりはない。 「……分かった、じゃあさっさと始めようか」 「OK。その前にまず場所を移動しないとね」 そう言って彼女は指を鳴らした。 瞬間、商店街の景色が一変し、俺はいつの間にか学校の教室に移動していた。 教室はもう人が入っててもおかしくない時間帯だと思うが、教室には誰もいなかった。 「それでは!説明をするよ!」 死神は教卓に足を組んで座りそう言った。 どんなゲームであろうと、紗雪を助けるためにも、絶対にクリアする。失敗は許されない。 ーーーーーー死神遊戯が始まる。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加