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「それでは!説明をするよ!」
教卓に腰掛け、死神は言った。
先ほどまで商店街にいたはずなのに、一瞬で景色が入れ替わり、学校の自分のクラスへと移動していた。
教室にいるのは、俺と俺の目の前にいる死神の少女の2名。
おかしい。何故人がいない……。
朝の登校時間ということを考慮しても、人が1人もいないなんてことがあるのか?
そう思い、俺は窓の外に目をやる。
まだ早い時間帯だからかもしれないが、外の校庭には人が見えない。クラスの中には荷物も置いてる机もない。
「今回のゲームにあたっては、あなたの教室を使わせてもらうわよ。邪魔だから、あらかじめ人払いもしておいたからね」
俺の心中の疑問に答えるかのように死神言った。
魂を取る。瞬間移動。人払い。
死神というものはどうやら俺の想像を遥かに超える存在らしい。
あまりに非現実的なことが起きすぎて、平静を装おうとしているが、やはりまだ完全には受け入れ難く、戸惑いも隠しきれない。
だが、実際にこうして起きているわけだから受け入れないわけにもいかない。
「……ゲームを俺のクラスで行う意味は何かあるのか?」
「特別な意味はないよ。ただこれから行うゲームはこの場所が適しているの。あなたの学校、あなたのクラスであることはただの私の気まぐれ。まあ、あなたが少しくらいはやりやすいように配慮した点もなくはないけど」
今さっきは魂を取ろうとしていた相手なのに、一応の親切心はあるのか。よく分からないな。
「どんなゲームを俺にやらせる気だ」
「そう焦らないで。ちゃんと説明してあげるから」
そう言って死神は教卓から下り、教室の入り口、方角からして黒板側の方向にある扉の方へ歩いていく。
「それじゃあ。今からルールの説明の方をするよ。よく聞いててね。」
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