第2話 最初の遊戯 前編

4/7
前へ
/45ページ
次へ
死神は扉に背をかけ、俺の方に顔を向ける。 「1つ目。この教室の中は自由に探していいよ。もしかしたら、何か扉を開けるヒントが見つかるかもしれないしね」 なにか含みのある言い方だ。 「2つ目。このゲームには制限時間を設けるよ。当然、制限時間以内にクリアできなければその時点でゲームは終了。あなたの魂を頂くことになる」 制限時間は終わりが迫ってくると焦りで思考が鈍る。時間にもよるが、やりにくい。 「……その制限時間は?」 俺の質問に死神は指を3本立てる。 「3分」 「3分!?」 思わず声を上げてしまった。随分と時間が短い。これではゲームなんてあっという間に終わってしまう。 「……時間は伸ばせないのか?」 「その要求は、ちょっと受けられないかな」 一応聞いてみたが、言っても無駄らしい。 「……分かった。続けてくれ」 「最後に3つ目。今から3分間。教室の扉はとある特別な方法でしか開かないようになる」 「特別な方法?」 「そう、それ以外の方法ではこの扉は絶対に開かない。だから頑張って開ける方法を見つけてね」 そう言って死神はコンコンッと手の甲で入り口を叩い た。 ルールを要約すると、『3分以内』に『特別な方法』で『扉を開けて』『外に出る』ということか。 制限時間のことなど不安要素は余りあるが、何にせよやるしかない。 「きちんと理解できた?何か質問はある?できる限り答えてあげるよ。ヒントになるようなことは言えないけどね」 「……ない」 死神の問いに俺は答える。 「そっか。じゃあ、これ以上会話しても仕方ないし、時間も惜しいからさっさと始めましょうか」 そう言って死神は小走りで黒板に向かい、白チョークで「3:00」という文字を黒板に書いた。 そして死神は再び教卓に座り、その場で沈黙して俺の目を見る。 あたりが静寂に包まれる。 「……準備はいい?」 その質問に俺は頷いた。 自分の心臓の鼓動が強く聞こえる。 「それでは死神遊戯を開始します。あなたの命は、後3分」 そして死神はゲームの開始を宣言した。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加