第2話 最初の遊戯 前編

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死神がゲームの開始を宣言すると、黒板の白文字が、ストップウォッチのように時を刻み始めた。 ーー残り時間、3分。 3分という時間でできることは限られている。じっくり考えている時間はない。 考えながら、体を動かせ。 そう思った俺はまず扉に手をかけた。 「……くそ、やっぱり開かないか」 入り口、出口の方と、走りながら扉を確認したが、やはりどちらも動かない。 実は最初から開いています。という盲点を突いた可能性をミクロ単位で考えていたが、やはり特別な方法とやらを見つけるしかないのか。 「……時間がない、急いで次だ」 気持ちを切り替えていかないと何もできずに終わってしまう。 ーー残り時間 2分50秒 焦るな。落ち着け。 確か死神はこう言っていた。 『教室の中は自由に探していいよ。何かヒントはあるかもしれないしね』 この言葉、特別な方法を見つけるには、教室を探せばなにかわかるように聞こえる。 何か隠してあるのだろうか?調べてみないとわからない。 パッと見た限り教室で主だって探せるところ、目に映らない机の中、教卓の中、ゴミ箱の中。 教卓の数は黒板の前に1つ 、ゴミ箱の数は教室の入り口付近に2つ、机の数は30数個。 ……丁寧に見ていたら終わらない。1分、1秒も無駄にはできない。1番近いところから、手で軽く探っていこう。
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