第3話 最初の遊戯 中編

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残り時間は2分を切った。 ゴミ箱、教卓、机と、ある程度目に見えない所は探したはずなのに、いまだに何も得られていない。 「くそ……。他に試してないことはないか」 まるで、重りを背負っているかのように体が重い。 体力も限界に近い感覚がする。 焦りや不安、極度の緊張状態が続き、神経はすり減り何も考えが思いつかなくなっていった。 時間は刻一刻と迫っている。休んでいる暇はない。 落ち着け。 落ち着け。 落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け。 頭の中で、俺はその言葉を反芻しながら、周囲を見渡す。 そして、視界に入ったのは……窓ガラスだった。 そう言えば扉は調べていたのに、窓は手付かずだった。何故今まで気づかなかった。本来ならば真っ先に思い浮かびそうなはずなのに。 俺は頭の中でその考えに至るのと同時に、近くにあった机の椅子を思いっ切り振りかぶり、窓ガラスへとぶつけた。 「わ~お、大胆~」 教卓の上に座る死神は感嘆の声をあげ、珠音の行動を見続けている。 ガンッ!と椅子がぶつかった音が教室内に響き渡った。 しかし、窓ガラスは割れず、傷の1つもつくことはなかった。 「くそ、やっぱりダメか」 当然手でも開きはしない。だが、窓ガラスへの攻撃行為でまた1つ思いついた。 人間の女の子のように見えるからあまり気は進まなかったが、この教室には死神がいる。 俺は瞬時に落ちた椅子を拾い、教卓に座る死神へと向かっていった。
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