第3話 最初の遊戯 中編

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(今回もハズレかな……) 状況が低迷している彼の姿をみて、死神は思う。 教室から出るために、先ほどまで様々なことを思いつき、実行して奮闘していた彼の覇気はもう感じられない。 今はただ苦し紛れに机を調べている。そんな感じだ。 (時間はあとどのくらいかな?) 黒板を見ると、『1分20秒』と出ている。 100秒足らずでよくここまで実行できたものだけれど、そもそもこのゲームは『特別な方法』にとらわれてずっと探っているのでは、絶対にクリアはできない。 今回の死神遊戯は単なる入門編のようなもの。3分という短い時間制限で、できることは限られている。 教室の中を走り回っているだけじゃ、そこには絶対に辿り着けない。 しかし、今回のゲームは運要素も強く存在する。 時間はまだ1分ちょっとある。その可能性もあるため、死神は彼に期待する。 ……それでも、願わくば運任せの結果ではなく、彼自身が考えて、確信を持って、ゲームをクリアしてほしい。 (果たして、ここから気づくことができるかな) 死神がそう考えたすぐ直後に彼に変化が生じることになる。 ーー残り時間は後、1分10秒。
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