1人が本棚に入れています
本棚に追加
(今回もハズレかな……)
状況が低迷している彼の姿をみて、死神は思う。
教室から出るために、先ほどまで様々なことを思いつき、実行して奮闘していた彼の覇気はもう感じられない。
今はただ苦し紛れに机を調べている。そんな感じだ。
(時間はあとどのくらいかな?)
黒板を見ると、『1分20秒』と出ている。
100秒足らずでよくここまで実行できたものだけれど、そもそもこのゲームは『特別な方法』にとらわれてずっと探っているのでは、絶対にクリアはできない。
今回の死神遊戯は単なる入門編のようなもの。3分という短い時間制限で、できることは限られている。
教室の中を走り回っているだけじゃ、そこには絶対に辿り着けない。
しかし、今回のゲームは運要素も強く存在する。
時間はまだ1分ちょっとある。その可能性もあるため、死神は彼に期待する。
……それでも、願わくば運任せの結果ではなく、彼自身が考えて、確信を持って、ゲームをクリアしてほしい。
(果たして、ここから気づくことができるかな)
死神がそう考えたすぐ直後に彼に変化が生じることになる。
ーー残り時間は後、1分10秒。
最初のコメントを投稿しよう!