1人が本棚に入れています
本棚に追加
思考が停滞しつつも、彼は机を探る。
しかし、もう教室から出る方法なんてないんじゃないか?
そもそもこれは現実なのか?
そう考えてしまっていた。
時間が、とてつもなく遅く感じる。普通ではないこの状況のせいで、体感時間が遅くなっているのか、それとも無意識のうちに死を覚悟して、走馬灯のようなものに陥ってしまっているのだろうか。
時間はまだ残っているというのに、自分が情けない。
だけど、本当にもう打つ手がない。一体これ以上、何をすればいいんだ。
心臓の鼓動は、より強く速くなる。
行き過ぎた焦燥感と死への恐怖、不安、様々な感情が頭の中で渦巻き、もはや何も思いつかず、彼の気力は薄れていった。
……カサッ。
その時、足元に何かが触れるのを彼は感じた。
最初のコメントを投稿しよう!