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「あの昏睡事件のことか?」
「そうそれ、もう何人目になることやら」
最近全国で相次いで起こっている連続昏睡事件。
人が突然昏睡状態に陥るという事件である。
原因は未だに解明されず、対策方法もよく分かっていない。
「その昏睡事件と、死神に一体なにか関係が?」
「そう!」
紗雪は勢い良く俺に指を指し、続けて言った。
「最近噂になってるんだけど、その事件の原因は死神が関係しているって言われてるの!」
その言葉を聞き、俺は箸を加えたまま再び怪訝な顔つきをしてしまった。
「その顔やめろ!」
俺の反応を不快に思ったのであろう紗雪は、俺の頭に手刀を炸裂させてきた。普通に痛い。
「私は真面目に言ってるんだよ?」
「ごめんごめん。ところでその情報の出処はどこから来たの?」
俺は自分の頭をさすりながら質問をする。
「……私は友達から聞いたんだけど、昏睡した人がその状態になる前に、妙なことを呟いてるのを聞いてた人がいたんだって」
紗雪は軽く不満そうな顔になりつつ説明をしてくれた。
「妙なこと?」
「......『死神が来る』って言ったんだって」
紗雪はまるで怖い話をする時のような深刻そうな声でそう言った。
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