第1話 死神の存在

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「あの昏睡事件のことか?」 「そうそれ、もう何人目になることやら」 最近全国で相次いで起こっている連続昏睡事件。 人が突然昏睡状態に陥るという事件である。 原因は未だに解明されず、対策方法もよく分かっていない。 「その昏睡事件と、死神に一体なにか関係が?」 「そう!」 紗雪は勢い良く俺に指を指し、続けて言った。 「最近噂になってるんだけど、その事件の原因は死神が関係しているって言われてるの!」 その言葉を聞き、俺は箸を加えたまま再び怪訝な顔つきをしてしまった。 「その顔やめろ!」 俺の反応を不快に思ったのであろう紗雪は、俺の頭に手刀を炸裂させてきた。普通に痛い。 「私は真面目に言ってるんだよ?」 「ごめんごめん。ところでその情報の出処はどこから来たの?」 俺は自分の頭をさすりながら質問をする。 「……私は友達から聞いたんだけど、昏睡した人がその状態になる前に、妙なことを呟いてるのを聞いてた人がいたんだって」 紗雪は軽く不満そうな顔になりつつ説明をしてくれた。 「妙なこと?」 「......『死神が来る』って言ったんだって」 紗雪はまるで怖い話をする時のような深刻そうな声でそう言った。
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