第壹號~甲型之巻~

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第二次世界大戦時末期である、 昭和二十年の大日本帝国海軍の、 鹿児島串良航空基地。 ここでは追い詰められた戦況と、 武士道特有の自己犠牲精神の産物たる神風特攻、 若き隊員達の志願とは名ばかりの、 半強制的な徴用によって結成させられとうと。 「志願者は前に出ろ!」 中隊長ば言われて、 士族である俺、三嶋義継(みしま・よしつぐ)は真っ先に出て、 隊員達は全員前に出たかに見えたが、 一人だけ前に出ん者が居とうと。 「貴様!何故志願しない!? それでも皇軍の日本男児か!?」 「だって生き残りたいやん♪ 普通死にたくないやろ~」 「この臆病者が!海軍精神注入!」 「ギャッ!痛い!わい志願するから、 どつくん辞めて!」 あまりに当たり前だが、 この状況ではあまりに場違いな発言をし、 中隊長から鉄拳制裁されている関西弁の男は、 吉元幸治(よしもと・こうじ) 俺ん同期で、 ライバルであり戦友でも有るばい。 志願したは良いが殴られ過ぎて、 痛みに打ちのめされる吉元を、 俺は粗末な兵舎で介抱する事にしたと。
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