職場篇

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次は日曜朝の美少女戦士の服を着た、 体格の良いガチムチな大男が現れた。 「今川、お前本当に占いしとるんやな」 「相変わらずキツい格好してんな」 この男森田燿一郎はイベントでスーツアクターを行う、 俺の中学時代からの友人である。 日曜朝など子供向け番組を愛する、 文字通り大きなお友達だ。 以前は所構わず鼻をほじっていたが、 それを咎めて以来、 今度はフリフリの美少女戦士のコスプレをし始めた。 俺の中学時代は暗く、 ロクな同級生は居なかったのだが、 この森田は一番マシだったので交流が続いているのだ。 「お前は何の占いで何を知りたい?」 「易でジャラジャラして、 俺がイベントで美少女戦士役やれるか占ってくれ」 易とは陰陽八卦を元にした古代中国思想で、 50本の筮竹をランダムに混ぜて分けて数える。 陰陽師もしていた朴占いだ。 分かりやすく派手な、 式神使役や妖怪退治までは出来ないが、 風水や九星気学もかじっているので、 俺は地味に陰陽師と言えるのだ。 「本卦(メイン)風雷益!現在利益有るが進み過ぎるな。 之卦(サブ)震為雷!軽はずみな行動を取るな。 お前その体型だから、 悪役やヒーローで我慢しろ!美少女戦士は無理」 「ちぇっ!」
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