三題噺

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「それに私はこの通販で78000円もしたハサミの性能美を証明したいのよ! 鬼をも切れそうなこの切れ味をね!」 「まあ、理髪店でもする訳でも無いのになんでそんな高い値段をしたブツを購入したのかは聞かないとして。どうせ百均と変わらないと思いますよ? 明らかにサギっぽいし」 「ふっふー。ところがどっこい。説明書によれば紙は当然のこと、果物、人間の骨、頑丈な特殊合金ですら簡単に一刀両断出来るのよ! どうよ、すごいでしょ!」 「それ既に一般家庭に置いていて良いレベルじゃないように感じるんだけど」  しかもなんで骨じゃなくて人間の骨なんだよ。  変に限定しているところが逆に怖すぎる。 「……しかもそんな切れ味マシマシなハサミでわざわざ牛乳パックを切り開くのに使ったら勿体ないと思うんだけど」 「だって家じゃハサミなんて使う機会無いし」  猶更なんで買ったんだよ。 「あれ? でも日常生活でハサミってよく使うんじゃない? 封筒を開ける時とかにさ」 「そんなもの指で引きちぎれば良いじゃない」  結構雑だなー。  指で引きちぎると下手したら中の書類まで破っちゃう時あるから怖いんだよな。俺。 「切り口の無いプラスチック製の袋を開ける時は?」 「……手刀?」 「ナマゾンで買った段ボールにやたらと包まれているレトロげーを開ける時は?」 「うん。手刀だね」 「鋼鉄の扉のある部屋に閉じ込められたら!」 「手刀」 「ムカついた人間を目の前にした時は」 「勿論のこと手刀で頭の先から一刀両断よ」  ……俺は知らない間に人間兵器を目の前にしていたのかもしれない。  とにかくマオーさんは怒らせないようにしよう。
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