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「この目の前の星に降り立ち、キモオタ星人への迎撃態勢を取ることは可能かしら?」
ロリノアの質問に、やはりメイシンは難色を示す。
『可能と言えば可能です。先行して送り込んだ探査球からの情報によりますと、この星には大量の鉄鋼と石油が確認されています。十数年と時間さえあれば、最低限の迎撃システムは構築できますが…』
「超々銀河団のトップクラスの科学力を相手にするには心許ないって事ね」
ロリノアも気付いてはいる。助力、逃走、迎撃の全てが不可能に近い事を。
常に監視されている状態では、どのような策も下策となる。まずは監視状況をどうにかしなければと、ロリノアが思案していると…。
『うぐっ!…ま、まさか!』
突如、メイシンがその場にへたり込み、身体を震わせながら苦しみだす。
「ちょっ、ちょっとメイシン!どうしたのよ!まさか…貴方…バナナアレルギーだったの!?」
『いえ…違います…バナナは…大好物です…上からでも…下からでも…大好物です!!』
「だったら…」
『ブラックルーム内から…遠隔操作が始まったようです…やはり…ブラックルームは監視の為の設備…先程の…アーグネス星人への…話に…反応…したのでしょう…自我が…自我が…自我が…乗っ取られ…』
「諦めるな!貴方は究極のメイドロイドじゃなかったの!?思い出して!バナナが突き刺さった、あの時の感情を!」
ロリノアの叱咤に、メイシンは大きく目を見開く。
ブラックルームからの遠隔操作が、カビの根のようにメイシンの全身に張り巡らされている。
しかし、バナナが突き刺さった時と比べればどうであろうか?バナナが急所に突き刺さった時、それは全身に電流が迸る程の未知なる快感!
『フゴガガガガッ!』
全身の神経が上手く作動しないにも関わらず、メイシンは必死で身体を動かしだす。
ヨロヨロとした右手が床を叩くと、そこから操縦席が現れた。
『宇宙船を…手動モードに切り替えました…申し訳ありません…これが精一杯で…』
「良くやったわ、メイシン!あとは私に任せなさい!」
そう言うとヒラリと操縦席に乗り込み、ロリノアは手動で宇宙船を動かしだす。
「キモオタ星人よ、よく見ておきなさい!これが…追い詰められたロリの…神風特攻だ!」
そう言うと宇宙船hakobuneを全速力で発進。向かう先は…自殺行為ともとれる未知なる超々銀河団!
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