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『わたくしめを…屈服ですか?』
メイシンは意味深げに笑みを浮かべる。先程の笑みと同じ、怪しい笑みだ。
…およそ一時間程、前の事。
「打開策?」
ハーレム創建を拒否するロリノアに、メイシンが提示したのが一つの打開策だ。
ロリノアは物凄く嫌な予感がした。メイシンの怪しい笑みを見れば、どんなに鈍い者であっても嫌な予感しかしないであろうが。
そんな警戒心剥き出しのロリノアとは対照的に、メイシンは笑顔を崩さずに打開策を提案。
『はい、簡単な事です。わたくしへの命令権で最も優先されるのは、創造主様であらせられるキモオタ星人。次いでロリノア様となりますので、その命令権の優先順位さえ変更出来れば、ハーレム計画への強要も無効化が可能となります』
「えらく簡単に言うけど…もし、それが本当に可能なら、そうやって説明する事は無いんじゃない?命令権の権限譲渡なんて重要な事、そもそも創造主が作るとは思えないし」
メイシンの打開策に対して、いたって懐疑的な態度をとるロリノア。不可能だと思われるからこそ、怪しげな笑みを浮かべているのではないかと勘繰っているのだ。
『いえ、その様な事は御座いませんよ?キモオタ星人は生粋のキモオタであり、キモオタとしての矜持を有しておりますので』
「キモオタの…矜持?」
『そうです、矜恃です。キモオタとはメイドが大好物の生き物…』
「ロリも大好物とか言ってなかったかしら?」
ロリノアのツッコミは意に介さず、メイシンは続ける。
『そんなメイド好きのキモオタとしての矜恃…それは究極のメイドロイドを作る事です!』
「……」
『キモオタの矜恃によって生まれた究極のメイドロイド。その奉仕能力をも上回る事が叶えば命令権は自ずと新たなる主人へと移行となります。言うなれば「キモオタ星人の技術の結晶を、超えられる奉仕があるのなら超えてみせよ!」と、キモオタ星人のメイドロイドへの絶対的な信頼と自負が、権限譲渡を可能としているのです』
メイシンは語る。キモオタ星人の作り上げしメイドロイドを超える、そんな奉仕能力など存在する訳が無いのだと。
それを聞いたロリノアは返事を保留して船内を見学。一息ついたところで食事。そして今に至る。
現状を把握し、それでもメイシンを屈服させる選択肢を選んだロリノア。勝算はある。そう、究極が故に弱点となるのだから!
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