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「あの、さ。ちょっと助けてほしいんだけど」
同じゼミ生の早川からそう話しかけられたのは、青空の下で一人で遅い弁当を食べているときだ。
「助けてほしいって、どうしたの」
早川はベンチの隣に座り、俺の弁当を覗き込んで「へえ」と感嘆の声を漏らす。
女子のその反応にももう慣れた。
「原田くん、一人暮らしだよね? 自分で作ったの?」
「まぁ、ね」
「一口、ちょうだい」
いいよ、と言う前に、早川に玉子焼きを取られてしまう。
白くて細い指が少し焦げた玉子焼きを軽くつまみ、唇へと運ぶ。
玉子焼きを口に含んだあと、舌がぺろりと白い人差し指を舐め、親指を舐め、もう一度人差し指を舐める。
「わ、美味しい!」
「ありがと。教えてくれた母さんが喜ぶよ」
「レシピ教えてよ、今度!」
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