きみの手を。

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 相変わらず早川は連絡先を手渡されていたけれど、俺と帰り始めた頃から、その数は激減した。  まったく、どこから見られていたのか、暇な人もいたものだ。  けれど、油断は禁物だ。  俺の計画のためだ。  しばらくして、早川のバイトがない日に、彼女を連れ出して、服を選んでもらった。  早川のスケジュールを把握できたのは、本当にラッキーなことで、誘っても駄目と言われることはなかった。  服を選んでもらったお礼に、アクセサリーショップで早川が「可愛い」と言ってしばらく見つめていた指輪を渡した。 「指輪をしていたら、連絡先を手渡されることも少なくなるんじゃないかな」  最初こそ、「もらえないよ」と拒絶していた早川だったが、指にはめてあげると顔を真っ赤にしながら、「ありがとう」と笑ってくれた。  そして、代わりに早川の服を何着か選んでみたら、大学にもそれを着てくることが多くなり、三宅と長尾から感謝された。  早川には濃い色の服が似合う。  それは、手の美しさを映えさせるための飾りでしかない。  三宅と長尾が選んだパステルカラーの服は、ただ可愛いだけで、早川の良さを引き出すには至っていなかったというだけなのだ。
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