58人が本棚に入れています
本棚に追加
相変わらず早川は連絡先を手渡されていたけれど、俺と帰り始めた頃から、その数は激減した。
まったく、どこから見られていたのか、暇な人もいたものだ。
けれど、油断は禁物だ。
俺の計画のためだ。
しばらくして、早川のバイトがない日に、彼女を連れ出して、服を選んでもらった。
早川のスケジュールを把握できたのは、本当にラッキーなことで、誘っても駄目と言われることはなかった。
服を選んでもらったお礼に、アクセサリーショップで早川が「可愛い」と言ってしばらく見つめていた指輪を渡した。
「指輪をしていたら、連絡先を手渡されることも少なくなるんじゃないかな」
最初こそ、「もらえないよ」と拒絶していた早川だったが、指にはめてあげると顔を真っ赤にしながら、「ありがとう」と笑ってくれた。
そして、代わりに早川の服を何着か選んでみたら、大学にもそれを着てくることが多くなり、三宅と長尾から感謝された。
早川には濃い色の服が似合う。
それは、手の美しさを映えさせるための飾りでしかない。
三宅と長尾が選んだパステルカラーの服は、ただ可愛いだけで、早川の良さを引き出すには至っていなかったというだけなのだ。
最初のコメントを投稿しよう!