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「でも戸川君、抱きつかれても一切反応しなかったらしいじゃん。最高だよね、あの冷たさ」
「余計にそそられるわ。抱きつく機会はないものか」
「この間の飲み会で背中触ったらビシッと締まっててさぁ」
「彼、水泳やってたらしいよ」
「ギャー、触ればよかった!」
また話が変な方向に……。
内心呆れていると美香先輩がいきなり俺の方にくるりと向いた。
「こら相原。後ろ向きな、後ろ」
「はい……?」
訳も分からないうちに無理矢理後ろを向かされ、ベタベタ背中を触られた。
「わわ、やめて下さいよ!」
「まあまあかな」
「どれどれ」
「いやいや、戸川君はこんなんじゃなくてね。細いけど弾力、みたいな」
「まあ相原だから仕方ないか」
余計なお世話だ。
のたくる俺に重鎮様方は何の遠慮もない。
「前はどうよ?」
「やめて下さいっ。触らないで下さいってば」
恥じらいの欠片もない痴女軍団と化した重鎮様方に触りまくられた哀れな相原君。
でも梨香子先輩だけは加わらず、ただ眺めて笑っていた。
それがなんとなく、寂しかったりして。
……いや、決して触られたいわけじゃないけど。
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