2061人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「この間、例の成瀬さんとホテルに入るとこ見たって」
それ仕事だよ、経企室の。
「うっそ。じゃあもう決定的?」
「聞いたけどさ。あの人の元彼って片桐王子に似てるらしいよ」
「うそ、誰よ?社内?社外?」
「元彼似って、未練たらたらじゃん。王子に失礼だよね」
由里ちゃんの一言が、管理部の女子に次々と飛び火していく。
「俺はパプリカ食べられるけど、ピーマン無理だよ。似てるけど」
椅子をキュルキュルいわせながら相原君が話に割り込んだ。
「まあ、どっちも嫌いだなー」
「そんな話じゃないです。勝手に割り込まないで下さい」
由里ちゃんが顔をしかめた。
「分かってるよー。未練たらたら女は嫌って話でしょ?」
まったく、どうして相原君は首を突っ込んでしまうんだ。
「なんか、あれ思い出すよね。突き落としたはずが、鉤爪で窓枠に引っ付いて復活するゾンビ」
由里ちゃんの爪をガン見しながら言った。
「怖いよねぇ、あれ」
ピキピキと血管が浮きそうな由里ちゃんの顔を見て満足する。
仕返ししといたよ、戸川っち。
あんま意味ないけどさ。
もはやこれは相原君の趣味だ。
最初のコメントを投稿しよう!