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こうして日々やかましく続く蛇とマングースの攻防は、戸川っちにも聞こえてるはずだ。
なぜ相原君が戦ってるのか、理由は知らないだろうけど(相原君自身もよく分からない)。
でも無愛想戸川っちの心に相原君への労いの気持ちでも芽生えたのか、たまに戸川っちにしては優しい時がある。
たとえば夜遅く、二人とも残業してる時。
欧州部は現地との時差のため夕方からが忙しく、残業が多い部門。
フレックスタイムとはいえ、深夜になると、お子様の相原君はあくびが止まらなくなる。
「ふわぁぁぁ」
「……」
「ぁぁぁ……ふぅ…」
隣の戸川っちがチラリとこちらを見た。
煩いとか言われるんだろうなとは思うけど、どうにも止まらない。
「ふわぁぁ……あー?」
隣からペチッと机の上に何かが飛んできた。
「やるよ」
戸川っちが投げてくれたのは、眠気覚ましのミントガムだった。
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