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その日は大宴会場貸し切りで行う海事全体の大忘年会だったから、朝からみんな仕事納めの気分でワサワサと落ち着かなかった。
全員出席が慣例だからと、その日に出張から帰国する戸川っちにも部長から出席命令が出ていた。
疲れてるだろうに、可哀相に。
時間と場所は幹事から戸川っちに連絡入れるってことで、夕方になると相原君も皆と一緒に宴会場に向かった。
宴会の席取りではいつも女子の激しい心理戦が起きる(重鎮様は除く)。
何を争うかって、もちろん戸川っちだ。
今日はその戸川っちが別便で到着のため、女の子達は互いに牽制しつつ、ぐちゃぐちゃと入り口に固まっていた。
「はいはい、邪魔よ!」
女の子の群れを蹴散らして入ってきたG7の面々がさっさと一角に陣取った。
重鎮様軍団は、とにかく飲めたら何処でもいいのだ。
それを見届けた相原君は、前回の飲み会の反省からなるべく重鎮様席からトイレまでのルートは避けて座ることにした。
「よっこいしょっと」
相原君が腰を下ろした瞬間、珍現象が起きた。
それまで様子見だった女子が一気に雪崩をうって動いたのだ。
……相原君の元へ。
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