2061人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
しばらくしてポケットで携帯が振動した。戸川っちだった。
「お帰り戸川っちぃー」
『お疲れ。場所どこ?』
「幹事から連絡いってないの?」
『……幹事って誰?』
「今回は管理部だよ」
『……なるほどね』
不機嫌そうな低い声。
急いで歩いているのか、声が揺れていた。
その時、戸川の背後で“待って、凌介先輩”と呼ぶ声がわずかに聞こえた。
そうか!
幹事、由里ちゃんじゃないか!
マングース、敗北。
敵は獲物を別の場所におびき出したらしい。
だけど戸川っちを騙すなんて、ちょっと逆効果じゃないかい?
しかし、そのあと会場に到着した戸川っちの怒りっぷりは、逆効果なんてぬるいもんじゃなかった。
最初のコメントを投稿しよう!