相原君の戸川っち観察日記③

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しばらく歓談していると、会場の入り口付近から黄色い歓声が上がった。 入り口に立ったのは戸川っち。 一週間ぶりに見るキリリとした姿に、周囲の女の子につられてつい“キャー”とか言いそうになったアホな自分に呆れる。 “戸川先輩はどこに座る?” 部屋中の女子が色めきたつ中、戸川っちは入り口に立ったまま、不機嫌そうにぐるりと会場を見回した。 飲み会で戸川っちが好んで飲む相手は、米州部の篠田先輩か、アジア部時代の先輩方。 だけど、最近は欧州部の仕事上、相原君と居ることが多い。 (同じ欧州部でも崎田先輩は嫌いらしいから消去法で俺らしい) アジア部か、米州部か、相原か。 さあ、どこに行く? 顔を巡らせていた戸川っちと目がバチリと合った瞬間、戸川っちがこちらに一歩踏み出した。 途端に相原君近辺の女子は歓声をあげたけど、アジア部や米州部と読んだ女子からは落胆のため息が漏れた。 相原君もホッと胸を撫で下ろす。 だってハズレ相原とか呼ばれちゃうし。
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