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「お疲れ、相原」
一度自宅に戻ってシャワーを済ませたのか、不機嫌な表情とは真逆の爽やかな香りを纏った戸川っちがドカッと横に座った。
「戸川っち、おか…「戸川先輩、お帰りなさいっ。出張お疲れさまでーす!」
戸川は女の子達の黄色い声に軽く会釈しただけで、いきなり手近なグラスを掴み一気飲みした。
「先輩……ごめんなさい」
その時、か細い声が聞こえた。
今まで気付かなかったけど、戸川っちの後ろには由里ちゃんが付いてきていた。
「出張中、なんかあった?」
由里ちゃんに一瞥もくれず、戸川っちは俺に話し掛けてきた。
「何件かあったけどフォローしといたよ。解るよう置いといた」
「ありがとな」
不機嫌そうながら、戸川っちは一瞬穏やかな顔でこちらに微笑んだ。
「……先輩、聞いてください」
けれど由里ちゃんが半泣きで戸川の横に座ろうとした瞬間、戸川の表情は一変した。
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