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「まあ飲みなよ、相原。あんたも寂しくなるわよねぇ」
「はぁ……」
何が寂しいんだかよく分からないまま、ちょうど戻ってきた欧州部長と戸川っちが気になって目で追っていると、美香先輩が小声で囁いた。
「赴任決まったのよ、戸川君。今、部長とその話してたんでしょ。まだオフレコだから内緒ね。正式発表は年明けよ」
「えっ……?」
驚いてまじまじと美香先輩見つめていると、突如美香先輩が相原君の太ももをぶっ叩いた。
「あいたっ、何すんですか!」
「……惜しいわ」
ヒリヒリする太ももをさすっていると、美香先輩が呆然と呟いた。
「惜しすぎるわ。目の保養だったのに」
美香先輩の場合、目の保養なんてキレイなもんじゃなく「妄想のおかず」の方が正しい表現かと思うが。
「これから何を励みに会社来いっていうのよ?活力の源をみすみす外国の女にくれてやるなんて」
横では美香先輩がまだブツブツ言っている。
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