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「俺がもし成瀬ちゃんとエレベーターで二人きりになったら……」
成瀬ちゃんが“何階ですか?”なんて聞いてくれて。
相原“8階をお願いします”
成瀬ちゃん“あ、海事の方なんですか?ステキなお仕事ですね”
相原“いや、それほどでは”
それからそれから……
つい戸川っちの存在も忘れ妄想の世界に飛び立った相原君を、戸川の冷ややかな一言が撃ち落とした。
「ガン見して不気味がられるのが関の山だな」
そんな戸川っちを横目で窺う。
まったくいつも通りの無表情で、定食を黙々と食べている。
(意外だけど戸川は和食派だ)
普段通り落ち着き払った態度を崩さないから、かえって何も言えなくなった。
事実だか尾ヒレ付きだか分からないあんな噂を日々耳にして、内心は平静ではないだろうに。
誰の味方もしないつもりだけど。
噂は防げないから、せめて由里ちゃんの鉤爪は相原君がなるべくブロックしてあげよう。
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