YU5075

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「よう、久しぶりだなQDBP?」 「お前こそ久しいなYU。」 俺はYU5075と、挨拶を交わした。 「三ヶ月ぶりぐらいか?」 「二ヶ月と二十八日だな。」 「大して変わらないだろ、それ……?」 俺の言葉に微妙な突っ込みを入れつつ、素早くYU5075は下水道を進んで行く。 「しかし、何時の事だが合流場所が下水道ってのも何か、微妙だな?」 「おいおい、それは仕方がないだろ? 何せ監視されてない場所なんて、そうそう無いんだからさ?」 「確かにそうだな。」 俺はYU5075の言葉に頷きつつ、実験施設への道を開く。 それは何度も行いし行為……。 俺は作り替える作業と、元に戻す作業を繰り返しながら、YU5075と共に進む。 数分足らずで、俺とYU5075は実験施設前へと辿り着いた。 「おや、外は雨だな?」 「そうか……。 なら実験体は、かなり多いだろうな?」 「あぁ、雨の日はやたらと増えるからな。 でもまぁ何匹出てこようが、俺が倒してやるから心配しなくていいぜ?」 「まぁ確かに、お前の能力に比べたら俺の再構成能力は戦いに向いてはいないが、別に戦えない訳じゃないぞ?」 「確かにな。 でも、今は余り戦闘用のバリエーションが無いだろ? それと能力の使い方は模索した方がいいぜ? お前の能力は使い方によっては万能だ。 構造さえ分かっていれば、武具の製造は勿論、食料や薬だって作れるんだからな?」 「何を言うかと思えば……。 俺達は殺し屋だぞ、薬なんか作ってどうするんだよ……? それに昇格してネームズ入りするんなら、戦いに特化しなけりゃ駄目だろうが?」 「確かに、そうだ。 ネームズになるには、他を圧倒する力が必要だ。 ハウンド・リングから逃れ、自由と名前を手に入るには今の所、ネームズになるしかないからな。 でも……単純な戦闘力だけが、戦況を左右するとは限らないぜ?」 「どういう意味だYU――?」 「例えばだが、殺しを成功させたとしよう。 だが…脱出の際、暗殺がバレて追手がきたとする。」 「それで?」 俺がそう問うとYU5075は、真剣な顔で言った。 「だが、戦力的には圧倒的だとしても、包囲され持久戦となったとしたら、お前ならどうする? 相手は多勢、此方は一人だ。」 「そうだな……? 俺ならば戦況を見極め、向かってくる者を早々に倒した後、退路を確保する。」
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