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お土産を持っていっても、サクラちゃんは全く興味を示してくれなかった。
当然のことだ。私が、サクラちゃんからコウちゃんを奪ったようなものだから。
サクラちゃんにとって、コウちゃんが唯一の存在だってことはよくわかっていた。
だからこそ、仲良くなりたかった。
猫じゃらしも、ネズミの玩具も、高級な缶詰も、見向きもされない。
少しくらい認めてくれてもいいじゃない、なんて思っているうちは、きっとダメなのだ。
そんな気持ちを持っている間は、サクラちゃんはきっと、私を認めてくれないのだ。
「サクラが人間なんじゃないかって錯覚するときがあるよ。だって、サクラはとても人間らしい感情を持っているから」とコウちゃんが優しそうに微笑むの、サクラちゃんはきっと知らない。
羨ましいな、と思った。
私はサクラちゃんの友達になりたい。
コウちゃんを取り合う恋敵ではなくて、コウちゃんを支え合う仲間に、なりたいんだ。
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