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「……私ね、先生のことが好き」
先生は私の目をしっかり見つめてくれる。驚きもせず、ただ、穏やかな視線で、私を包んでくれる。
先生、好き。
好きだった。
過去にするには、辛くて悲しいくらい、好きだった。
「一年のときから、ずっと好き。作文を絶対褒めてくれたし、音読のときも声がよく通るねって言ってくれたし、授業中も寝ないでちゃんと起きてるねって私を見てくれてたし……私、ずっと、ずっと、好き、だったの、先生、のこと」
顔を上げられない。涙で前が見えない。タオルハンカチは既にびしょびしょだ。
こんなふうに泣いて先生を困らせて、私はひどい生徒だ。
でも、逃げたくないの。自分の本心から。
そして、先生にも、逃げてもらいたくないの。私の気持ちから。
私はわがままだから、先生にも向き合ってほしいの。私の恋心に。
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