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「俺さ、高校卒業したら警察官なろうかなって思ってる。」
「あら、そうなの?あ・・・。」
俺はあわてて付け加える。
「その、別に、お袋と親父が警察官だったから、ってだけじゃなくて・・・。
俺にとって、父さんと母さんは大切な両親だと思ってるし・・・。」
「・・・。」
「ただ、俺は・・・。色々な事情を抱えてる人の手助けが
出来たらって・・・。」
半分は本心から言っている。もう半分は・・・。
そんな俺の本心を見抜いてか、母さんは静かに問いかける。
「でも、それなら、大学に進学してからでも遅くは
ないんじゃないの?もし、お金の心配をしてる
なら・・・。」
「いや、俺はさ、早く第一線で働きたいんだよ!
今度先生にも相談して資料もらうからさ、父さんには
母さんから言っといて!」
俺は、母さんの言葉を遮ってリビングを出た。
ふと、玄関の横の棚に目が止まる。
棚の上には、元旦に届いた年賀状が置いてある。
俺も友達も、もっぱらSNSですませてしまうので、
自分に届く年賀状はわずかだ。
でも、毎年、小学校の時の先生から届く。
年賀状をかき分けると、やはりあった。
美咲ちゃん先生。
俺が5年生の時の担任。
5年生の時に新任で、22歳だったと思う。
綺麗でぽやーっとした先生で。
あの時俺は子供ながらに、いつもチラ見してはドキドキ
していた。
巨乳。
美咲ちゃん先生は巨乳だった。
今は・・・、26歳くらい・・・?
やさしくて、甘い匂いがしたな・・・と、思いを馳せる。
しかも、美咲ちゃん先生は恐ろしく字が下手だった。
毎年届く年賀状も、墨でのったくった字で、びびったものだ。
黒板の字も、解読不能とまでは言わずとも、汚い字だったので、
俺はそのギャップにちょっと萌えたりも今はするのだけれど、
確か同級生の親から苦情が出ていたとか、
卒業してから母さんに聞かされた。
まだ美咲ちゃん先生の結婚の噂は聞かない。
先生、今どんな感じなんだろう。
特におっぱi・・・。
そんな下世話な事を考えながら、またもや先生ののったくった字の
「あけましておめでとうございます」
の字に苦笑いしながら、解読不能の墨でつぶれた字に頭を抱えながら部屋に戻った。
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