ドルアーガの教え

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さて、プログラムの部署の課長である俺は、誰が担当するのか考えないといけない。とりあえず明日にでもファミコン版をプレイして内容を把握しよう。 適任者を決めるのは重要事項で、向かない人を担当にしてしまうと中々進まないわ、バグはでるわで、開発終盤には課長である俺がデスマーチに参加することとなる。それだけは避けたいなぁ。楽しくもあるけど、やっぱり寿命を削っている気がする。そろそろデスマーチに参加する現場から脱出したい。 部長になれば脱出できるが、部長になればなったで、数字とか人事とかを見る事が増えて現場に参加できる機会はめっきり減る。それはそれでちょっと寂しい。 それにしても最近は、アプリゲームの開発と運営が増えて、数字と売上のことばかり。面白さよりもどうやったらユーザーを離さないか、どうやったら売上が上がるかを考えるばかりでゲームをつくってる感覚はあまりない。 結論として、キャラゲーにして、ガチャにキャラをどんどん追加して、ってことになるのだ。どうせドルアーガの塔も同じ形になるんでしょ。 それが手っ取り早いことは俺たちが一番分かっている。何度か斬新なゲームシステムに挑戦したり、独特な雰囲気があるゲームに挑戦してみたことがあるが誰も望んでいなかったようだ。 どっちにしろドルアーガの塔をやってみる必要がある。誰が担当になるか分からないけど、ファミコン本体とドルアーガの塔を買ってくるとするか。これで明日はアキバに寄って出社ってことで、ゆっくり出社することができるな。 出欠ホワイドボードの明日の欄に「午後出社」と記入した。ん?川上のやつ、打ち合わせの後、直帰かぁ。そんなこと言ってたな。どんなにデジタルが発展しても、常にそこにあり一目で分かるアナログの安定感にはかなわない。
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