記憶

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春休みのある日、家族で夕飯を食べている時に、お母さんが思い出した様に唐突に話し始めた。 「恵美ちゃんもお年頃になったわねぇ。さっき帰りに会ったけどすっかり綺麗になっちゃって、お母さん一瞬誰だか分からなかったわよ。」 と肉じゃがを食べながら嬉しそうに話していた。 お母さんは小さい恵美子お姉ちゃんを知っているから そう思ったのだろう。 でも、私は違う。 いつでも恵美子お姉ちゃんは大人で優しくて、憧れだった。 そんな話しをした直ぐ後だった気がする。 ずっと会っていない恵美子お姉ちゃんに会いたいなぁと思っていた頃。 恵美子お姉ちゃんが帰って来ないと大騒ぎになったのは。 捜索願いを出したようだったけど、子供だった私には誰も何も教えてはくれなかった。 それからどのくらい経ったか忘れてしまったけれど、恵美子お姉ちゃんの家族は引越してしまった。 それから1度も恵美子お姉ちゃんの家族を見ていない
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