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「俺がどんだけ紗苗のことが好きで、我慢してるか、わからないの?」
「わ…わかんない」
はぁ、と小さくため息をついた祐空は膝をかがめて私と同じ目線となり、そのまま息がかかるほど近くに顔を寄せてきた。
「ちょ、た…」
「好きだよ、紗苗」
祐空の形のいい唇から漏れる甘い言葉と息にクラクラしそうになると、顔がゆっくり近づいて少し冷たいものが私の唇に当たった。
ちゅっ、とリップ音を立てて祐空が離れると、春風にのった祐空の香りが鼻孔をくすぐった。
「…ファースト、キス…」
「紗苗、人前でイチャイチャするのとか、好きじゃないし、手を繋ぐのもためらうじゃん。俺、そろそろ我慢の限界なんだけど?」
「だって…」
人前でイチャイチャしている人を見ると、正直気持ちが悪くなる。どうして人の目を憚らずあんな風なことができるのか…私にはわからない。
「そういうのい、嫌だから…」
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