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そして3回裏、教え子が先頭打者として左打席に立った。村山が威圧的なワインドアップをしてから大きく振りかぶって投げた。その長い手が最高点から振り下ろした球は次第に教え子の内角に向かっていく。そして大きな音がなると観客の歓声は悲鳴にすぐさま変わった。
「アッーーーーーーーーーー」
打席で手首を抑えて叫ぶ教え子の姿に俺は顔をテレビに近づけた。テレビには痛みに叫ぶ教え子に近づくチームメイトと監督、そして悪びれもせず帽子を脱ぐ村山、教え子はベンチに下がり代走が出された。
俺はこの場に入れないことを後悔した。俺は猛烈に村山を殴りつけたいという衝動にかられていた。教え子の僅かなチャンスをこんな形で潰されたのだから。
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