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七日後の昼九ツを少し過ぎた頃。政の家の戸を叩く音に反応して、綻ぶ表情を隠すことも忘れて、政は玄関の戸を開けてその先にいる人物に微笑む。
「こんにちは、秋谷さん!」
「こんにちは、お政さん」
約束のお花見当日。政を家まで迎えに来てくれた秋谷と共に家を出て、二人並んで目的地まで他愛ない話をしながら歩く。
「今日は弟さんの側にいてやらなくても大丈夫でしたか?」
「ええ。元気に遊びに出かけましたよ。何かあっても今日は家に母がいますから大丈夫です」
「そうですか。それはよかったです」
他人の家族のことをこんなにも気にかけてくれる秋谷の優しい人柄に、政はますます秋谷に惹かれていく。
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