春の雪

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「あ!とれた」 がばっと起き上がると、あきれた顔をした妻が立っていた。 「寝るならベッドに行ってって、いつも言ってるでしょ」 「ご、ごめん…」 もそもそと立ち上がって伸びをする。 暖かい日差しが気持ち良くて寝てしまっていたらしい。 「なんか、夢を見た気がする」 「どんな?」 「…忘れた、それよりさ、花見に行こう」 「え、急だね、どうしたの?」 「いいから、いいから」 あの桜の木はまだあるのだろうか。 あの、夢を叶えてくれた桜の木はまだ、あの場所に。
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