仲間①

21/36
前へ
/332ページ
次へ
「え〜ん。見なくなかったよぉ〜」 「私も……」  二人の落ち込みようが凄い。それを見てレヴィは「カッカッカ」と笑ってるし。  うん、とても平和だ。  因みに、リアムによると人面コウモリの名前は『ノンスクリームバッド、通称"家畜攫い"』だという。ほぼ同種っていう。  流石の僕もそれには「へぇ〜」としか答えられなかった。  もうこの地帯で他のモンスターを期待するのは諦めよう……そう考え、半径数キロ範囲に向けて『威嚇』を放った。  これで当面モンスターは寄ってこないだろう。残念だが、まあしょうがない。  そこから少し物寂しくなってしまったので、僕とマルで新たな楽しみを考え出した。  力が有り余るマルが馬車を降りて走り、僕が障害物を創り出しマルの行く先を阻むというものだ。  マルの修行になるし、僕もゲーム感覚で行えるし、かなりグッドなアイディアだ。 「よし! ジン、僕は十秒後に走り出すからそこからスタートで!」 「オッケー! じゃあ行くよ!」  その場にマル一人を置いて馬車は走り出した。  今のマルなら魔導具もあるし遠慮は要らないだろう。でも最初は軽めに。  十秒が経ち、マルが走り始めたと同時にマルの前方へ岩の壁を創り出していく。  それをマルは次々と躱し、破壊し突破していった。 「やるね!」  その後に発生させた竜巻地帯も突破するマル。 「よし、徐々に難易度上げてくよ!」  僕が次の仕掛けに取り掛かっていると「アタシもやるー!!」と言ってミアが馬車から飛び出していった。  参加は自由だし、寧ろウェルカムだ。  高重力エリアと灼熱のマグマ溜まりをスポット的に設置し、上空から大量の氷の槍を降らす。  そこにリアムも便乗して広範囲に砂漠地帯を生み出し、流砂まで発生させ始めた。 「リアム、ナイス!」  それにニッと悪い笑顔で返すリアム。リアムも結構なドSのようだ。
/332ページ

最初のコメントを投稿しよう!

359人が本棚に入れています
本棚に追加