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そういう日に限って、あまりお客さんもいなくて、商品が動かないから補充もすることもなくて、暇な時間が多かったりする。だから、ついつい、山本さんのことを考えてしまう。自分でも、どうしようもない。
「どうした? 濱田くん?」
尾賀さんが、心配そうな顔で僕に話しかけてきた。
「え? あ、いや、どうもしないです」
慌てて、レジ前のお菓子の棚を整理しだしてみたけれど、誰も手を触れていないのか、もう、誰かが整理したのか、僕がいじる余地がない。
「なんか、眉間に皺、よってる」
「えっ」
慌てて自分の眉間に指をおき、指の腹で皺を伸ばそうとした。
「珍しいね。いつも、そんなふうに顔を顰めたりしないのに。なんかあった?」
「あ、いや……」
「どうせ、今は暇だし、お客さんくるまでなら話聞くけど?」
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