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そう言いながら、レジのカウンター周りを整理しだす。僕は僕で、尾賀さんのいるレジのそばで、チラシの整理に手をだした。お客さんが持っていくたびに、山がずれるけれど、実際にはそんなに動かないチラシ。
「平川先輩、覚えてますか」
「あ、あいつ? 何、濱田くん、あいつに何か言われたの?」
あからさまに嫌そうな顔をする尾賀さん。そうだよな。尾賀さんも平川先輩に迷惑を被った人だもの。
「ちょっと、別のバイトの誘いを受けて」
「えっ!? ちょっと、やめて。冗談でしょ?」
「あ、でも、断りましたけど」
「あー、よかったぁ。濱田くん辞めるとか言われたら、マジでシフト回らなくなるから」
「や、辞める時は、早めに言います」
「そうよね、濱田くんだったら、ちゃんとしてくれると思うもの。あいつみたいに、突然とかないと思ってるから」
そうだ。平川先輩は、店が一番忙しい時期に辞めると言って、代わりに僕を送り込んだのだ。おかげで、僕は鍛えられたのかもしれないけれど。
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