2705人が本棚に入れています
本棚に追加
なかなか振動が止まらないので、携帯を取り出すと、電話がかかってきている。
それも崇さんから。
慌てて、通話を押した。
「崇さん?」
『ああ、もう着いた頃かと思って電話したんだけど』
「え、まだ〇〇駅ですけど」
『今、どこ?』
「え?」
『迎えに来たんだけど』
その言葉に、僕は慌てて周りをキョロキョロと見回した。
「16番線のホームから階段上がったところです」
『16番線……わかった。近くに何がある?』
僕は階段を上り切った目の前にある店を伝えた。
「え、えーっと、カウンターのある飲み屋さんみたいなのと……洋食屋さんと、お寿司屋さん……かな?」
『とりあえず、見つけやすそうなのは、どこ?』
「あ、じゃ、じゃあ、お寿司屋さんのところにいます」
僕は足早にお寿司屋さんに向かうと、角に立ちながら携帯を握りしめ、周囲を見渡す。
この時間になっても人の流れは、減っている気がしない。
最初のコメントを投稿しよう!