8.酒のつまみ、再び

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「何、買い物?」 「え、いや、そういうわけじゃ」 「まぁ、まぁ、これ一つ、どーぞ」  目の前に差し出されたカゴ。  あからさまに『何か買っていけ』という笑顔に、中から一つだけ受け取ってしまう。  尾賀さんは「じゃーね」と言いながらカゴを抱えて去っていった。  僕は苦笑いをしながら、目の前のつまみの棚に再び視線を向け、自然と手が伸びていた。  さきいかフライ  いわしせんべい  かわはぎ  カシューナッツ  アーモンド小魚  ゴマわかめ  崇さんと僕。  二人でのんびりビールを飲みながら、酒のつまみを食べてる姿が、頭の中に浮かんでくる。  そんな時、いきなり携帯がコートのポケットの中で揺れた。  崇さんからの電話だった。
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