8.酒のつまみ、再び

26/49
前へ
/406ページ
次へ
「もしもし」 『テルくん?』 「はい」  僕は電話をしながらレジに向かう。 『会社出たんだけど、今どこかな?』  え?と思い、店の壁にある時計に目を向けると、まだ午後六時になるか、ならないか。 「し、仕事は?」 『終わったよ』 「は、早いですね」 『ああ、早くテルくんに会いたくてね』  そんな嬉しい言葉をサラッという崇さんに、僕の方が恥ずかしくなる。 「今、百均のお店にいます」 『そうか、じゃあ、そこに向かうよ』  崇さんの電話が切れるのと同時に、僕の会計になっていた。  レジ台にカゴを載せると、長谷川さんのニヤニヤ笑いに気が付いた。
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2705人が本棚に入れています
本棚に追加