8.酒のつまみ、再び

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「お、お疲れ様です」 「お疲れ様~。何、デート?」  デ、デート……そう言われると、そうなのかもしれない、と意識してしまう。 「そ、そんなもんじゃないです……」 「またまたぁ」  長谷川さんの手際の良さに、あっという間に会計が終わる。 「来週から、またバイト入れてるんだよね?」 「はい」 「よろしくね、もうバレンタインで忙しくなるからさ」 「あ、はい」  長谷川さんが「ありがとうございましたー」と言いながら、つまみがたくさん入ったレジ袋を差し出した。  僕は、それを受け取ると、すぐにその場を離れた。  バレンタインか、と思いながら、いつも季節モノの商品が並べられる棚に目をやると、すでにピンク色の商品たちが溢れていたことに気づく。  すでに女の子たちが群がっている様子に、チラリと小島さんの姿が頭に浮かんだ。
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