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「テルくん」
優しく僕の名前を呼ぶ声に、思わず笑顔が零れる。
振り向くと崇さんが、少し息をきらして立っていた。
「お疲れ様です」
「ああ、テルくんも。何買ったの?」
僕が下げていたレジ袋に目を向ける崇さん。
僕は、フフフっと笑いながら、崇さんにレジ袋の中身を見せた。
「おお、酒のつまみか。お!俺の好きなかわはぎも入ってる」
「あ、やっぱり、これ、お好きでしたか」
「あはは、ついつい、これ、買っていまうんだよ」
僕たちは他愛無い話をしながら、店を離れ、エレベーターに向かう。
この時間帯は、結構、お客さんがいて、僕たちはエレベーターの奥のほうに追いやられてしまった。
不意にレジ袋を持っていないほうの手に、誰かの手が触れ、ギュッと握りしめられた。
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