8.酒のつまみ、再び

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 刺身や煮物、サラダといった定番の料理の他に、僕が食べたことがないと言ったマグロの頬肉のステーキまで。 「和風の居酒屋さんなのに、こんな小洒落た料理まで出てくるなんて、びっくりです」  まるでお肉みたいで、ついつい箸が進んでしまう。  そんな僕をニコニコと微笑みながら、僕を見つめる崇さんの瞳は、とても優しい。  気が付けば、テーブルの上は、空いた器だらけになっていた。  そろそろお会計をして、店を出なくちゃいけないかな、と思っていた時。 「はい、これ、よかったら食べてみて」  突然、女将さんがにっこりと微笑みながら、何やら炒飯らしきものが盛られた小さなお皿が二枚、目の前に置いた。  「え?」  僕も崇さんも驚いて、女将さんの顔を見上げた。
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